パニック障害
パニック障害
パニック障害とは、突然の予期しないパニック発作(強い不安感を伴って動悸、めまい、ふるえ、吐き気、呼吸困難感、息苦しさ、発汗などが起きる発作)が最初に起こり、その後発作を繰り返す病気のことです。
パニック発作では、「このまま死んでしまうのではないか」「気が狂ってしまうのではないか」という感覚に陥ることもあります。人混みにいる時や乗り物に乗っている時など、特定の状況で繰り返しパニック発作が起きることもあるため、「そのような状況でまた発作が起きるのではないか」という予期不安が強まり、そのような場所や状況を避けるようになる傾向があります。あまりに予期不安が強いと、外出すること自体に恐怖を感じるようになり、外出が制限されるなど日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
最初に発作が起きる原因には、過労や睡眠不足、ストレスなどが関係している場合があります。飲酒やカフェインの摂取が症状の悪化と関連することもあります。発作が起きることへの強い不安(予期不安)が発作の引き金になる場合もあります。
パニック障害はもともと心配性やマイナス思考になりがちではない方でも発病することがある病気です。以前は当たり前にできていたことができないという苦しみを感じている方もいらっしゃいます。パニック障害であることを公表する芸能人の方がいることで、パニック障害は広く認知されるようになってきています。悩まずにお気軽にご相談ください。
抗うつ薬の一種であるSSRIは、パニック障害の薬物療法の基本となる薬になります。効果が現れるまでに一定の期間があるため、強い不安や発作に対して抗不安薬を併用しつつ治療を行うこともあります。発作の頻度や程度、予期不安の強さなどを指標に、薬剤調整を行っていきます。効果が現れて症状の程度が軽くなっても急には中止せず、状態を見ながら少しずつ調整をしていきます。SSRIの薬を内服するのを急に止めたり、急激に量を減らしたりすると、めまいや頭がフラフラした感じ、吐き気、焦燥感、不安感などの離脱症状が出ることがあります。だからといって「一度飲んだらやめられない怖い薬」というわけではありません。医師と相談しながら焦らずじっくりと内服量を調整していけば薬を中止できる場合もあります。ただし、内服を中止すると症状が再発・再燃してしまう方も一定程度おられるため、そういった方には内服の継続をおすすめすることもあります。
自律神経(交感神経と副交感神経)の乱れが発作につながることがあります。不規則な生活、睡眠不足、過労・疲労状態、過度な運動、気温差、飲酒、カフェインの摂取などが自律神経に影響します。診察ではこの点にも着目し、生活面でのアドバイスなども行っていきます。
パニック発作や予期不安により日常生活に支障をきたす状態になっている方は、「本当はこういった行動をしたい、こういった場所に行きたい」と思っていても「やっぱり不安だ、きっと発作が起きてしまう」という思考になってしまっています。パニック障害を放置したまま経過が長くなると、「本当はこういった行動がしたい、こういった場所に行きたい」という気持ちがなくなってしまい、「絶対に発作が起きるからやりたくない、行きたくない」となってしまうことも多々あります。
治療ではそうしたネガティブな思考や決め付けの思考の修正を目指します。自分の考え方のクセや偏りに気付き、ハードルの低いことから少しずつチャレンジしていき、行動範囲の拡大を目指します。「できたことが自信になる体験」を積み重ねていけるよう、専門的なアドバイスを行います。無理をせず、自分のペースで治療に取り組むことが大切です。治療により自分の状態を理解し、対処法を身につけていくことで、以前の自分を取り戻していくことが可能です。