社交不安障害
社交不安障害
「不安を感じること」は生活していく中である意味「当たり前に感じること」です。人が生きていく上で、ほどほどの不安を感じることは、自分を守るためにもとても大切です。しかし、その不安が過度でありすぎてしまうと、日常生活に支障をきたすようになります。行き過ぎた不安を感じるようになった状態を「不安障害」と呼びます。
「不安障害」には様々な状態があります。社交不安障害は、注目を浴びる状況で、極端な緊張状態の陥ることが特徴です。失敗や批判を極度に恐れることも多くあります。対人恐怖症や赤面恐怖症、あがり症と言われる状態も社交不安障害に含まれます。
社交不安障害の方は、パニック障害や全般性不安障害、他の不安障害(例えば、行事や会議などでその場から離れられない状況になるとトイレに頻回に行きたくなる、そのことが不安で行事などには出席したくない、など)の状態を呈していることもあります。
不安障害の患者様はうつ症状を伴っていることも多くあります。「こんなことを不安に思っているのは自分だけだ」「こんなことを相談するなんて恥ずかしい」と思わずに、日常生活に支障がある不安症状があれば是非ご相談ください。
抗うつ薬の一種であるSSRIは、社交不安障害の薬物療法の基本となる薬になります。効果が現れるまでに一定の期間があるため、抗不安薬を併用することもあります。効果が現れて症状が軽くなっても、急には中止せず、状態を見ながら少しずつ調整をしていきます。
SSRIの薬を内服するのを急に止めたり、急激に量を減らしたりすると、めまいや頭がフラフラした感じ、吐き気、焦燥感、不安感などの離脱症状が出ることがあります。だからといって「一度飲んだらやめられない怖い薬」というわけではありません。医師と相談しながら焦らずじっくりと内服量を調整していけば薬を中止できる場合もあります。ただし、内服を中止すると症状が再発してしまう方も一定程度おられるため、そういった方には内服の継続をお勧めすることもあります。
同じ状況であっても、ものの見方、受け取り方、考え方というのは人それぞれです。前述した通り、「適度な不安」は自らを防衛するためにも必要な事です。しかし、不安障害に陥っている方は、日常生活に支障をきたす思考状態になっているとの自覚があってもその考えを修正することができず、「本当はこういった行動をしたい」と思っていても「やっぱり不安だからできない、やろうとしてもうまくいくはずがない」と思ってしまいます。不安障害の経過が長くなると、「本当はこういった行動がしたい」という気持ちすらなくなってしまい、「自分には絶対にできないことだからやりたいとも思わない」となってしまうことも多々あります。
治療では、そうしたネガティブな思考や決め付けの思考の修正を目指します。自分の考え方のクセや偏りに気付き、ハードルの低いことから少しずつチャレンジしていき、行動範囲の拡大を目指します。「できたことが自信になる体験」を積み重ねていけるよう、専門的なアドバイスを行っていきます。